逆説の日本史11 戦国乱世編/朝鮮出兵と秀吉の謎

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井沢 元彦

逆説の日本史11 戦国乱世編: 朝鮮出兵と秀吉の謎 単行本 – 2004/2/26

 豊臣秀吉というと割とフランクないい人で、庶民的な印象を受けます。今までたくさんの時代劇で表現されてきたことが私の脳内にも偏見を作っているのでしょう。まあ普通に考えると、そんないい人が弱肉強食の戦国時代に武装農民レベルから天下人に上がれるはずありません。いい人だったかもしれませんが冷静な判断をたくさん下し、成功を積み上げたのでしょう。高齢化すると愚かな悪人になったような描き方をされます。その最たるものが朝鮮出兵ですね。
著者はそこは肯定しています。戦国時代から平和な時代に移行するときに政権を強固なものとすることも大事ですが、武装して殺人に抵抗感がない武士をどうするか?「豊臣系列以外の武士は国内にいない方が良い」「国内統一したら、余剰の武装勢力をどうするか」という点から朝鮮出兵したと著者は見ています。しかも主君織田信長時代からの計画のようです。そうであれば、結果は失敗でしたが肯定できるかもしれません。刀狩りの政策を見ても武装民の処遇は天下の一大事だったと想像できます。
 冷徹な現実主義者も年には勝てないということと、覇者が子孫を継続させるには周囲の有力勢力を根絶するしかないということの実例がここでできたようです。平清盛が源頼朝を生かしたことと同じ様に徳川家康を残して先に豊臣秀吉が死んだことが時代の転換を生んだようです。

逆説の日本史11 戦国乱世編: 朝鮮出兵と秀吉の謎 単行本 – 2004/2/26

説明
豊臣秀吉の天下人としてのデビューから、豊臣政権滅亡の原因ともなった朝鮮出兵までを取り上げます。足軽から身を起こして天下統一した豊臣秀吉は戦国一の人気者です。しかし、彼の生涯や戦記を扱った作品は小説仕立てだったりで、真実追求の姿勢が不足しているものが少なくありません。著者は、秀吉を「明確な天下統一のプランはなかった」「常人を超えた『大悪人』であり『大天才』である」と述べ、新しいリベラルな秀吉像を提示します。また、『唐入り』を侵略戦争と断じた歴史学会の贖罪史観をあげ、「前近代において、戦争あるいは侵略は決して絶対悪ではない、という認識をもつべき」と、今の日本人がクリアしなければならない「課題」も提示します。

井沢 元彦
昭和29年、名古屋市生まれ。早大法学部卒。TBS入社後、報道局放送記者時代『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞受賞。その後退社し執筆活動に専念。歴史推理・ノンフィクションに独自の世界を開拓



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