石ノ森章太郎
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新装版 マンガ日本の歴史9-蒙古襲来と室町幕府の成立 (中公文庫 S 27-9) 文庫 – 2021/2/25
歴史が好きです。
何でかはわかりません。日本史・世界史・人類史など歴史関係の本はよく読みます。子供のころと大人になってからは歴史の見方が変わりました。
子どものころは教科書などに書いていると「その事実は間違いなくあった」と信じます。大人になってからは「そういう説もあるのね」と思うようになりました。だって見てきた人は誰もいないし、例えばヒミコにあった人は誰も現存しないので何らかの文献・痕跡で推測しているんですよね。大人になるまでそんな「事実の危うさ」には気づきませんでした。
現在の報道や書籍を鑑みるに、未来の人は21世紀の歴史を語るのは難しいだろうなと想像します。一つの事象に四方八方の意見が乱立しています。結局その時代感覚に沿った解釈をするのでしょう。それが歴史です。
でもこの本は面白い。
やはりマンガの力=読みやすい・楽しいが詰まってます。
石ノ森章太郎の画力もあると思います。
力を入れずに読む大人、歴史を流れで感じたい子供にお勧めです。
子どものころは巨人の星が大好きでしたがサイボーグ009も印象に残るマンガでした。SF、そして外人が活躍するところが当時斬新でした。
源氏の物語が次第に北条家の物語に変わっていきます。このころの最大の歴史的出来事といえば元寇です文永の役・公安の役。いわゆる神風が吹いて神国日本は助かったという話ですね。
数年前に九州を旅行しましてその時の遺物や絵巻物なども博物館で見ました。当時の軍事力から言えば人数的にも技術的にもおそらく日本には勝ち目がなかったでしょう。結論として守り切れたのは台風のおかげですね。
いろいろと疑問な点があるんです。なぜ台風の時期にわざわざ選んで船に乗ってきたか。しかも上陸してしまえば有利に戦争ができるはずなのに、船で一カ月以上滞在したり不思議な点があります。元の軍隊はこの日本に台風が来ることは知らなかったかもしれませんが、一緒に朝鮮民族も来ていたはずです。朝鮮半島の人々からすればこの時期に台風が来るのは当然のこと、周知の事実だと思います。やはり元軍に対して反感を持っていたのでその点については進言しなかったのでしょうか。もしくはもっと積極的にこの時期に行くように促したのでしょうか。もしそうだとするとこの時の一番の功労者は朝鮮の方々かもしれません。
いつの時代でも外敵が来ると国内は逆に政治的に安定します。これを安定と言っていいのかどうかわかりませんが一丸となって外敵に向かうことにより国内での政争が減るということですね。元寇が去るとその時に強化した北条家の専制政治が続きます。専制政治が続くと今度はそれに反抗する勢力が出てくるものです。
それが後醍醐天皇と足利尊氏。今度は建武の新政ですので天皇が自ら政治を行う昔でいう天皇制の理想形だったかもしれません。ここでも日本の特殊な傾向が出ているかと思います。それは国軍を持たないということ。君主が軍事的な第一人者ではないこと。それが原因となり混乱となります。ただこの辺で完全に朝廷の世の中・朝廷中心の政権運営から武士中心の政権運営に変わった時期だったのかもしれません
新装版 マンガ日本の歴史9-蒙古襲来と室町幕府の成立 (中公文庫 S 27-9) 文庫 – 2021/2/25
説明
十三世紀後半、高麗を降した皇帝フビライは次の狙いを日本に定め国書を送るが、幕府と朝廷はこれを無視し、二度の襲来を受ける。辛くも外敵を退けた幕府であったが北条専制が進むにつれ、諸国で荘官、地頭、農民、僧をはじめ権力機構末端の御家人までもが「悪党」化。動乱の時代は後醍醐帝と足利尊氏という両巨星を生みだす。原案執筆・村井章介
〈目次より〉
序章 アジアの嵐と予言者日蓮
第一章 文永の役
第二章 さまざまな旅
第三章 弘安の役から得宗専制へ
間章 都鄙名誉の悪党
第四章 出口なき幕府
第五章 当今御謀叛
第六章 足利尊氏、起つ!
第七章 建武新政の崩壊
解説・村井章介