石ノ森章太郎
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新装版 マンガ日本の歴史5-延喜の治と将門・純友の乱 (中公文庫 S 27-5) コミック – 2020/12/23
歴史が好きです。
何でかはわかりません。日本史・世界史・人類史など歴史関係の本はよく読みます。子供のころと大人になってからは歴史の見方が変わりました。
子どものころは教科書などに書いていると「その事実は間違いなくあった」と信じます。大人になってからは「そういう説もあるのね」と思うようになりました。だって見てきた人は誰もいないし、例えばヒミコにあった人は誰も現存しないので何らかの文献・痕跡で推測しているんですよね。大人になるまでそんな「事実の危うさ」には気づきませんでした。
現在の報道や書籍を鑑みるに、未来の人は21世紀の歴史を語るのは難しいだろうなと想像します。一つの事象に四方八方の意見が乱立しています。結局その時代感覚に沿った解釈をするのでしょう。それが歴史です。
でもこの本は面白い。
やはりマンガの力=読みやすい・楽しいが詰まってます。
石ノ森章太郎の画力もあると思います。
力を入れずに読む大人、歴史を流れで感じたい子供にお勧めです。
子どものころは巨人の星が大好きでしたがサイボーグ009も印象に残るマンガでした。SF、そして外人が活躍するところが当時斬新でした。
このころから怨霊=無念の死を迎えた人々が増えてきます。社会が複雑化して政府高官の中でも陰謀や騙しあいなどの不条理な死を迎える人が増えてきたのでしょうか。いつの時代も日本人は騙せる奴は騙しちゃうんでしょうかね。
菅原道真 冤罪で九州大宰府に左遷され朝廷を恨んだまま死んだ怨霊として知られた人物です。2022年に九州に旅行した時に大宰府に行きました。特に感慨はなかったです。思い出すのは誰からもらったかは覚えていませんが大学受験の時に大宰府天満宮のお守りを持っていたことです。1000年経っても学問の神様とたたえられているのはすごいと改めて思い出しました。
平将門 天皇に逆らった大逆人として語られる人物です。「新皇」を名乗って天皇制に反旗を翻した坂東の武人。戦前であれば「畏れ多くも畏くも現人神で在らせらる皇尊」に逆らうことは大変なことだったとは想像できます。実際はどうだったのでしょうか?この本ではどちらかというとそれほど野心に満ちていたようには描かれていません。国司の圧政にやむを得ず立ち上がった田舎の乱暴者として描かれています。どっちが真実かどちらも違うか?歴史の謎です。
平将門は恐ろしい怨霊としても知られていますが信仰の対象・畏れを慰撫する対象として現在まで受け継がれています。東京の大手町の「首塚」は有名ですね。
歴史の授業では平将門に時間をとり、藤原純友の乱はあまり詳しくやらなかった記憶があります。決まった時間で多くの内容をこなすのは大変だったのだろうと思います。今の歴史の時間は変わっているかもしれません。