世界史は病気が変えてきた

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坂井建雄 

世界史は病気が変えてきた 単行本(ソフトカバー) – 2023/9/27

 新型コロナ以来伝染病や医療に関する関心が高まりました。過去の伝染病はどのように世界の歴史に影響を与えてきたのか?帯封に書いてありますが「もし伝染病がなければアメリカ合衆国は誕生しなかったかもしれない?」かもしれない調のまるで東スポの記事みたいですが、そこに惹かれて読んでしまいました。
 内容は思っていたのと少し違い医学の歴史的な話が多いように思います。その病気がどのように世界史に影響を与えたかという点はどちらかというと少ないかもしれません。
 明確に分かったのは医療と言われる技術は古くからありますが、それが確立して効果を発揮し始めた歴史はきわめて短い。
 例えば手術は麻酔なしにはありえませんし、病原菌の発見なくして伝染病の治療やワクチンの製造はできなかったでしょう。そう考えると近代医療の歴史はまだ100年から150年ぐらいです。現在の医療は大変進歩しているように思えますが、50年後から見るとかなり野蛮な医療と見られるかもしれません。
 現在の視点でしか語れないところが時間の制約を受ける存在の弱みです。

世界史は病気が変えてきた 単行本(ソフトカバー) – 2023/9/27

説明
もし伝染病がなければ、アメリカ合衆国は誕生しなかったのかもしれません。歴史の分岐点にはいつも、さまざまな病気、そしてそれと戦った医学者たちの苦闘がありました。戦争や外交上の派手な人間ドラマに隠れてこれまであまり知られてこなかったエピソードを、医学史の第一人者が掘り起こし、文明の興亡を理系目線で読み解きます。

坂井建雄
1953年生まれ。解剖学者・医史学者。順天堂大学保健医療学部特任教授。 1978年東京大学医学部卒。1986年同学部助教授、1990年順天堂大学教授(解剖学・生体構造科学)を経て、2019年より現職。2017年より2023年6月まで日本医史学会理事長も務め、現在は副理事長。 医学史関連の主な著書に、『医学全史』(ちくま新書)、『図説医学の歴史』(医学書院)、『日本医学教育史』(東北大学出版会)、『人体観の歴史』(岩波書店)、『謎の解剖学者ヴェサリウス』 (ちくまプリマーブックス)など。 また、解剖学関連ではこのジャンルとして異例のヒットとなった『ぜんぶわかる人体解剖図』(共著、成美堂出版)など、一般向けの著作も多く、明快な語り口で人気を集めている。

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