ロヒンギャ 差別の深層

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宇田 有三 (著)

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ロヒンギャ 差別の深層 単行本(ソフトカバー) – 2020/8/6

 ロヒンギャという言葉は知っていましたが、理解は「ミャンマーに住んでいるムスリムでバングラデシュ方面から昔に移住している人たち、ミャンマーの仏教徒から迫害されている人たち」というものでした。
 この本を読むことで理解が深まりました。ロヒンギャの置かれている状況は、日本人からすると極めて困難といえます。無国籍で共住が許されている正当な地域がない。過去のユダヤ人と境遇が似ていますが大きく違うところはユダヤ人が豊かであるのに対してロヒンギャは極めて貧しい。
 ロヒンギャのミャンマーでの境遇には一番にイギリス、日本も責任があります。ミャンマーは多民族国家ロして知られています。日本でもカレン族などの反政府武装組織はよく知られています。著者は長くミャンマーの取材をしていてミャンマー人の友人も多いようです。彼らの「民族意識」にも触れられています。日本在住のミャンマー人から見ると「東北人」「鹿児島人」「沖縄人」などは言語・文化も違うので別民族であるという意識だそうです。「そういわれればそうかなー」というのがのんびりした日本人である私の感覚です。のんびりした日本人は、「沖縄とアイヌは別民族だけどどうかしてるから日本人でいいんじゃなーい」と思っていますが当事者がどう感じているかを考えさせられました。また、民族の定義が曖昧なものであることを改め感じました。ここで思うのは民族自決主義の悪い面です。良い面ももちろんあるのですが、現代では悪い面が表出している気がします。過去のハプスブルクのオーストリア帝国やサラセン帝国では他民族・他宗教でも共存していました。専制君主という問題もありますが・・・・・・
ミャンマー内でのロヒンギャに対する差別は日本の部落問題と似ています。遺伝的には差がないにもかかわらず、何らかの要因で差別が存在します。この本では彼ら自身が「ロヒンギャ民族」というものは存在しないと思っていると書かれています。「ロヒンギャムスリム」という呼称が彼ら自身が正当な呼称と考えミャンマー内でも使用されているようです。(アウンサンスーチーの民主政権下でも)民族になったのは国連の意向が影響しているようです。「迫害される民族」に支援をするというのが国連の仕組みなのでそれに当てはめてしまったということのようです。知ったからといって大したことはできませんが、知らないことを知るのは悪くないと思っています。

ロヒンギャ 差別の深層 単行本(ソフトカバー) – 2020/8/6

説明
なぜ、100万人を超えるロヒンギャの人びとがミャンマーから逃れたのか。
ミャンマー社会に見え隠れする差別の実態とは。

軍政時代の潜入取材からおよそ 30 年にわたって同国を見続けてきたフォトジャーナリストによる、
世界最大級の「難民問題」の解説書。

同国を最もよく知る写真家が、ロヒンギャに対する構造的差別の実態を報告する。

シリア内戦でヨーロッパ諸国に難民が押し寄せたとき、東南アジアでもロヒンギャの人びとが“ボートピープル”となってマレーシアなどに向けて避難する映像を目にした人も多いと思います。
軍事独裁国家から民政移管され、アウンサンスーチー氏が国家指導者となったミャンマーでなぜ?
そもそもロヒンギャとはどういった人びとなのか?
断片的な報道からは、難民が発生した背景まで知ることは難しいです。
本書は、軍政時代に潜入取材を始め、ミャンマー全土を踏破したフォトジャーナリストが、歴史・宗教・民族など様々な側面からミャンマー社会を紹介しつつ、ロヒンギャの人びとが置かれている構造的差別の実態を報告しています。
さらに重要なのは、大日本帝国がアジア太平洋戦争で英国の植民地だったビルマ(ミャンマー)を軍事制圧した時代にさかのぼり、戦争責任や軍政支配した責任を指摘しつつ、現在の日本からミャンマーに向ける“眼差し”=植民地主義的な視点を批判的に述べていることです。
本書は、〈難民=人権を奪われたかわいそうな人びと〉という皮相な見方から一歩進んで、難民が生まれた背景・歴史を深く理解するための様々な角度からのアプローチが展開されており、ロヒンギャ難民問題だけでなく、広義の難民問題に関心のある読者に新しい視座を提供する本となっています。

宇田 有三 (著)
 1963年神戸市生まれ。フリーランス・フォトジャーナリスト。90年教員を経て渡米。
ボストンにて写真を学んだ後、中米の紛争地エルサルバドルの取材を皮切りに取材活動を開始。
軍事政権・先住民族・世界の貧困などを重点取材。95年神戸大学大学院国際協力研究科で国際法を学ぶ。
「平和・共同ジャーナリスト基金奨励賞」「黒田清JCJ新人賞」他。
主な著書・写真集は、『閉ざされた国ビルマ─カレン民族闘争と民主化闘争の現場をあるく』『観光コースでないミャンマー(ビルマ)』(ともに高文研)、
『ビルマ軍事政権下に生きる人びと』(企画・編集:財団法人アジア・太平洋人権情報センター、発売:解放出版社)、
「民政移管」後のビルマ(ミャンマー)において、外国人初の出版物として発行した『Peoples in the Winds of Change』などがある。




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