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イーサン ウォッターズ

クレイジー・ライク・アメリカ: 心の病はいかに輸出されたか 単行本 – 2013/7/4
著者はアメリカ人のジャーナリストなので、アメリカ人に批判的です。
世界で唯一、迫害されたカルト教団が移住し、先住民を駆逐して作り上げた国家。アメリカ合衆国。
私は日本人なので外側しか見えませんが、かなり不思議な国と思われます。
アメリカンドリームと言われるようなチャンスのある国でもあります。人種・性別・出自・宗教にとらわれず成功を収めるチャンスがある国だと思っています。ただ、漫然と生きていてはチャンスをつかむことはできないので自己肯定・自己主張が必要な国ではないでしょうか。また、チャンスをつかめないと厳しい生活になる格差の大きい社会でもありそうです。成功とはどちらかというと経済面に偏っていると思われます。経済面では宗教差別も表面上はなさそうではありますが、生まれた時からのアメリカ人はキリスト教に大きな影響をを受けています。キリスト教徒の多い国です。カルト移民が作った開放的な国なので、移民を受け入れることに寛容です。むしろ移民なしでは経済的には回っていかない国かもしれません。人口も順調に増加し、科学技術や軍事力では間違いなく世界一です。
彼らは、彼らがたった3-400年程度で作り上げた制度や文化、製品を輸出することに熱心です。日本を顧みれば、製品輸出には熱心ですが制度・文化を輸出することには消極的です。私が思うに、日本人は日本の製品は世界一だと思っていますが、日本の制度・文化は世界一だとは思っていないからだと思います。制度・文化はそれぞれの地域の歴史や地域性・宗教・風土・習慣に強く結びついているので口出しするもんじゃない、ましては日本化したいなんて思いません。実はここは経済的に大きなポイントで、例えば日本的な文化や・制度を他国へ輸出して、他国が日本的な価値観に変わると日本製品が売れます。日本人好みと言われる細かい仕様や細部にこだわったものが売れやすくなるはずです。
アメリカはそれをやっています。アメリカの価値観を世界に広めてアメリカ人がいいと思うものを世界中に売ったり広めようとする傾向があります。おそらくですが、アメリカ人はアメリカ人の制度・文化・生活・価値観が世界一だと思っている節があります。しかも自己肯定・自己主張が得意なアメリカ人なのでおとなしめの国の人々はなすがままになりがちです。
そのようなことが、精神疾患で起きているというのが著者の主張です。自己肯定・自己主張ができて善意で人助けができるなんてアメリカ人にとって最高です。そのため、世界の不幸に見舞われた国に押し寄せアメリカの価値観を輸出します。しかし、アメリカから来ているので儲かれば留まりますが、儲からなくなる、興味が無くなると去ります。残された地域の人々はたまったもんじゃありません。
最近もロシア・ウクライナの停戦仲裁にアメリカが乗り出してトランプ大統領はノーベル平和賞を狙っている節があります。報道を見るには中々順調ではないようです。報道ではこのまま膠着するとトランプ台と横領がロシア・ウクライナの停戦仲裁への興味をなくす可能性があるなどとされています。これはまさにこの本が書いていることじゃないでしょうか?戦争に対峙するにしてもアメリカはアメリカなのかな。
アメリカから来ているので儲かれば留まりますが、儲からなくなる、興味が無くなると去ります。
クレイジー・ライク・アメリカ: 心の病はいかに輸出されたか 単行本 – 2013/7/4
説明
メガ・マーケット化する日本の「うつ病」
スリランカを襲った津波と「PTSD」
香港で大流行する「拒食症」
変わりゆくアフリカ・ザンジバルの「統合失調症」
科学的知識の普及か? 善意の支援か?
治療のための研究か? それとも金儲けか?
――アメリカ型の精神疾患の概念が流入して以後、
各国で発症率が急増し、
民族固有の多様な症候群や治療法が姿を消しはじめた……。
4つの国を舞台に、
精神疾患のグローバル化がそれぞれの文化に与えた衝撃と、その背景を追う。
イーサン・ウォッターズ
『ニューヨークタイムズマガジン』『ディスカバー』など多数の雑誌に寄稿しているジャーナリスト。サンフランシスコに妻子と在住。