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井沢 元彦

逆説の日本史3 古代言霊編: 平安建都と万葉集の謎 単行本 – 1995/5/10
道鏡愛人説は広く一般に知られている話です。人情噺というか、「天皇陛下にもそういう歴史があった」的な面白話です。ロシアでは怪僧ラスプーチン。面白おかしく伝わってますが、事実はどうであったかは不明です。著者は歴史学者に対する批判精神もあると思いますが、史実に基づいて否定しようとしています。どちらかというと「称徳天皇」より「道鏡」の方が有名です。認知度が高いのはなぜでしょう?「称徳天皇」という諡は作者の法則でいえば「徳」があるのではなく恨みを持ったまま崩御した天皇という図式になります。
「平城京~長岡京~平安京」遷都は怨霊対策だと断言しています。そうかもしれません。怨霊に対する信仰は現代まで残っていますのでよほど強いものなんでしょう。万葉集が現存することの不思議。言霊信仰の強さを指摘しています。確かに日本には言霊信仰という強い忌避があると思います。現代日本人でもそうですから万葉人はより強かったと思われます。
面白い日本史です。
逆説の日本史3 古代言霊編: 平安建都と万葉よほど強い者なんでしょう集の謎 単行本 – 1995/5/10
説明
目次
第一章/道鏡と称徳女帝編
-愛人騒動をデッチ上げた「藤原史観」
称徳女帝に生涯独身を強制した〝時代の掟〟/「乱倫の
女帝」の〝愛人関係〟を検証/藤原仲麻呂と大炊王は
「奇貨おくべし」を再現しようとした!?/対朝鮮半島
の外交政策が原因だった称徳女帯のクーデター/「道鏡
巨根説」「道鏡愛人説」を生んだ歴史家の〝錯覚〟/
〝愛人関係〟を否定した称徳女帝の詔勅/「皇帝」に
なろうとした藤原仲麻呂の〝野望〟/「道鏡皇帝」を
決断した称徳女帝の〝ある事情〟/ユートピアを実現
しようとする「外来思想修正の法則」/皇帝史観と表裏
一体の「藤原史観」 ほか
第二章/桓武天皇と平安京編-遷都を決意させた真相と風水説
遷都反対派を一掃した「藤原種継暗殺事件」/「平城
京~長岡京~平安京」遷都は怨霊対策/平城京と奈良の
大仏を捨てた天皇家の〝贅沢〟/「エリコ返還」と
「平安遷都」に共通する宗教の力/風水説により設計さ
れた平安京と江戸/「迷信」ではなく「科学」としての
陰陽道/長岡京の「鬼門」に位置する平安京 ほか
第三章/『万葉集』と言霊(コトダマ)編
-誰が何の目的で編纂したのか
恋人の名を口にできない古代人の〝タブー感覚〟/言論
の自由を封殺し続ける「コトダマ信仰」の世界/戦後
平和は「平和憲法」によって守られたのか/「祝詞」化
している〝外国製〟日本国憲法/コトダマが支配する
「憲法第九条問題」と「言葉狩り」/本名と通称を使い
分けさせた〝名前のタブー〟/「原万葉集」に〝犯罪
者〟の歌が掲載された謎/「正史」に記載されなかった
『万集』の成立事情 ほか
井沢 元彦
昭和29年、名古屋市生まれ。早大法学部卒。TBS入社後、報道局放送記者時代『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞受賞。その後退社し執筆活動に専念。歴史推理・ノンフィクションに独自の世界を開拓
